14.ロコモティブシンドローム|一般財団法人 京浜保健衛生協会

京浜保健便り

14.ロコモティブシンドローム

保健師便り2017.06.03 2548view

ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドローム」(略称:ロコモ)という言葉をご存知でしょうか。
最近、徐々に浸透しつつある“ロコモ”は骨、軟骨、椎間板、筋肉といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下し、将来的に介護が必要となる可能性の高い状態をいいます。今回は、最近話題の“ロコモ”についてのおはなしです。

ロコチェック

  •  片脚立ちで靴下がはけない
  •  家の中でつまずいたり滑ったりする
  •  階段を上るのに手すりが必要である
  •  家でのやや重い仕事が困難である
  •  2kg程度の買い物を持ち帰るのが困難である
  •  15分くらい続けて歩くことができない
  •  横断歩道を青信号で渡りきれない

なんだか他人事と思っているそこのあなた。まずは「ロコチェックをおこなってみましょう。
「ロコチェック」はとっても簡単。右の項目のうち、あなたはいくつ当てはまりますか?
一つでも当てはまった方は運動器が衰えているサインです。
※詳しくは、日本整形外科学会HPをご覧ください(ぜひ「ロコモ度テスト」も合わせてやってみましょう)

いつ始める?今でしょ!

骨と筋肉量のピークは20~30代と言われています。若いから大丈夫…と油断していると、いつの間にか体は衰えていきます。健康寿命を延ばすためには、『若いころから』始めることが大切です。今の「習慣」が将来のあなたを作るのです。あなたはどちらの坂道を選びますか?

ロコモとメタボの関係

「メタボリックシンドローム」(略称:メタボ)という言葉を聞いたことのある方は多くいらっしゃると思います。実はこの「メタボ」と「ロコモ」は切っても切れない関係なのです。
「ロコモ」の最大の危険因子は加齢ですが、第2の危険因子は「肥満」と言われています。ひざや腰への荷重の増加が、関節の炎症や関節軟骨・椎間板の変性を加速させるためです。(やせすぎも禁物です。やせすぎると筋肉や骨はどんどん弱くなってしまいます。)

ロコモを防ぐために

ロコモを防ぐためには、適切な『体重管理』と適度な『運動』、そして『栄養』が大切です。

体重

理想的なBMIは22です(最も病気にかかりにくいとされています)。
まずは自分の理想体重を知るところから始めましょう。

理想体重(kg)=(身長m)²×22

運動

なかなか運動の時間をとるのが難しい方は、生活の中に意識的に取り入れてみましょう。
たとえば…

  •  エレベーター、エスカレーターではなく階段を使う。
  •  通勤方法をバスから徒歩、自転車に変えてみる。
  •  いつもより遠くのスーパーに買い物に行く。
  •  歩幅を広く、速くして歩く。

なんだか、できそうな気がしてきましたね。
※無理せず、自分のペースで行いましょう。大切なのは、続けることです。
※痛みがある場合は医療機関に相談して行いましょう。
(余力のある方は、ぜひ日本整形外科学会の『ロコトレ』にもチャレンジしてみてください)

栄養

一日三食バランスよく食べることが理想的ですが、忙しかったり時間がなかったりと、難しい方も多いのではないでしょうか。そんな方はあきらめずに、「一日を通してバランスよく」を心がけましょう。中でもロコモにとって特に大切な栄養素は以下のものです。

【骨がよろこぶ栄養素】
骨を強くするための栄養素で最も重要なのはカルシウムです。特に日本人はカルシウム摂取量が不足しがちといわれており、意識的に摂取する必要があります。他にも、たんぱく質・ビタミンD・ビタミンKを合わせて取り入れると効果的です。

カルシウム…牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜、海藻類、大豆製品など
ビタミンD…カルシウムの吸収を高めます。きのこ類、鮭、日光浴など
ビタミンK…骨の形成と骨質の維持に働きます。納豆、青菜など

【筋肉がよろこぶ栄養素】
筋肉を作る最も重要な栄養素は「たんぱく質」です。そしてそのたんぱく質の働きを手助けしてくれるのが、「ビタミンB6」。「たんぱく質」と「ビタミンB6」を組み合わせて取り入れると効果的です。

たんぱく質…魚、肉、卵、大豆製品、乳製品など
ビタミンB6…にんにく、かつお、まぐろ、レバー、酒粕など

保健師便り

この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

一般財団法人 京浜保健衛生協会

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