法令に基づく特殊健康診断|一般財団法人 京浜保健衛生協会

法令に基づく特殊健康診断

特殊健康診断とは、有害物質を取り扱う方やリスクの高い作業を行う方に対する健康診断です。作業及び作業環境と特殊健康診断結果との関連を検討することで、作業による健康障害を未然に防ぐことを目的として実施されるものです。個人診 断の意味合いの大きい一般健康診断に比べ、特殊健康診断は “職場診断” の意味合いが大きいといえます。

健診時期は通常、雇い入れ時・当該業務への配置換え・定期(6か月または1年以内に1回)ですが、取り扱う物質によっては離職時・その他の業務への配置換え時などに実施しなければならないものもあります。特殊健診にはさまざまな種類があり、業種や取り扱っている化学物質等により義務付けられているものもあります。

酸取扱者等の歯科健康診断

酸取扱者等の歯科健康診断

塩酸・硝酸・硫酸・亜硫酸・弗化水素・黄りん・その他の歯またはその支持組織に有害な物質のガスで蒸気または粉じんを発散する場所における業務に従事する労働者に対して、雇い入れ時と当該業務への配置換え時、およびその後定期的(6か月以内ごとに1回)に歯科医師による健康診断を実施しなければなりません。

必ず実施すべき検査項目

  1. 歯科医師による歯牙酸蝕所見の有無の検査

石綿健康診断

石綿健康診断

石綿障害予防規則に基づき、「石綿を製造し、もしくは取り扱う業務等に常時従事する労働者」および「事業場の在籍労働者で、過去においてその事 業場で石綿を製造し、または取り扱う業務に常時従事したことのある者」に対して雇入れ時、当該業務への配置換え時、その後定期的(6か月以内 に1回)に健康診断を実施しなければなりません。

必ず実施すべき検査項目

  1. 業務の経歴の調査
  2.                        
  3. 石綿による、せき・たん・息切れ・胸痛などの自覚症状または他覚症状の既往歴の有無の検査
  4. せき・たん・息切れ・胸痛などの自覚症状または他覚症状の有無の検査
  5. 胸部X線検査(直接撮影)

医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目

  1. 作業条件の調査
  2. 特殊Ⅹ線検査および喀痰細胞診または気管支鏡検査 (※(4)の検査の結果、異常陰影があり医師が必要と認めるとき)

じん肺健康診断

じん肺健康診断

じん肺法施行規則で定められた作業に、常時従事または従事したことがある労働者に対して実施しなければならない健康診断です。健診時期は就業時・ 定期・定期外・離職時に分けられます。

必ず実施すべき検査項目

  1. 粉じん作業についての職歴の調査
  2. 胸部X線検査(直接撮影または一定の条件を満たしたDR撮影)

※胸部Ⅹ線検査でじん肺の所見が認められた場合はさらに詳しい検査が必要です。また、就業時、定期、定期外、離職時の各健診時期には適用の条件があり、その条件によっては健診時期が “遅滞なく~3年以内ごと” に定められています。

※じん肺健康診断の詳細については、じん肺診査ハンドブックなどを参考にされることをお勧めします。

電離放射線健康診断

電離放射線健康診断

管理区域内に立ち入り放射線業務に従事する労働者に対しては、雇い入れ時と当該業務への配置換え時、およびその後定期的(6か月以内ごとに1回)に健康診断を実施しなければなりません。

必ず実施すべき検査項目

  1. 被ばく歴の有無の調査及びその評価
  2. 白血球数及び白血球百分率の検査
  3. 赤血球数および血色素量またはヘマトクリット値の検査
  4. 白内障に関する眼の検査
  5. 皮膚の検査

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特定化学物質健康診断

特定化学物質健康診断

特定化学物質は健康への影響の大きさを目安に製造禁止物質や第1類物質といった区分に分けられていて、雇い入れ時、当該業務への配置換え時、およびその後定期的(6か月以内ごと、物質によっては1年以内ごとに1回)に健康診断を実施しなければなりません。また物質によっては、過去 に常時従事していて現在も雇用している場合は、6か月以内ごとに健康診断を受けさせなければなりません。また一次検査で異常所見があり、医師が必要と判断した場合は二次検査を受けさせなければなりません(※二次検査は労災病院等の紹介をさせていただきます)。特定化学物質障害予防規 則では、物質により一次検査および二次検査の項目が決められています。

主な物質ごとの検査内容

物質名 検査内容
弗化水素 診察
マンガン及びその化合物 診察、握力
クロム酸およびその塩 診察、胸部X線(※一定の条件がある場合)
ニッケル化合物
(粉状の物に限る)
診察
エチルベンゼン 診察、尿中マンデル酸
コバルト及び
その無機化合物
診察
クロロホルム 診察、肝機能
ジクロロメタン 診察、肝機能
スチレン 診察、尿中マンデル酸とフェニルグリオキシル酸の総量、白血球、白血球分画、肝機能

健診内容等の詳細につきましては厚生労働省のパンフレット等をご確認ください。

鉛健康診断

鉛健康診断

鉛中毒予防規則第1条第5項(施行令別表4)の業務に従事する労働者に対しては雇い入れ時と当該業務への配置換え時、およびその後定期的(6 か月以内ごとに1回)に健康診断を実施しなければなりません。

必ず実施すべき検査項目

  1. 業務の経歴の調査
  2. 作業条件の簡易な調査
  3. 鉛による自覚症状および他覚症状の既往歴の調査 血液中の鉛の量および尿中のデルタアミノレブリン酸の量の既往の検査結果の調査
  4. 鉛による自覚症状または他覚症状と通常認められる症状の有無の検査(自覚症状、他覚症状については決められた項目をチェックします)
  5. 血液中の鉛の量の検査
  6. 尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査

医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目

  1. 作業条件の調査
  2. 貧血検査
  3. 赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査
  4. 神経学的検査

有機溶剤健康診断

有機溶剤健康診断

有機溶剤中毒予防規則第1条第6項の有機溶剤業務に従事する労働者に対しては雇い入れ時と当該業務への配置換え時、およびその後定期的(6か月以内ごとに1回)に健康診断を実施しなければなりません。

必ず実施すべき検査項目

  1. 業務の経歴の調査
  2. 作業条件の簡易な調査
  3. 有機溶剤による健康障害の既往歴の調査
    有機溶剤による自覚症状および他覚症状の既往歴の調査
    (自覚症状、他覚症状については決められた項目をチェックします)
    有機溶剤による異常所見の既往の有無の調査
    (5)の既往の検査結果の調査
  4. 有機溶剤による自覚症状または他覚症状と通常認められる症状の有無の検査 (自覚症状、他覚症状については決められた項目をチェックします)
  5. 尿中の有機溶剤の代謝物の有無の調査
  6. 肝機能検査
  7. 貧血検査
  8. 眼底検査

上記の項目の内、(5)~(8)は、下記の表に示した有機溶剤に限る

有機溶剤の種類 検査項目
代謝物 肝機能 貧血 眼底
キシレン、トルエン、
1,1,1-トリクロルエタン、ノルマルヘキサン
     
N,N-ジメチルホルムアミド    
クロルベンゼン、オルトジクロルベンゼン、
1,2-ジクロルエチレン、クレゾール
     
エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
エチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールモノメチルエーテル
     
二硫化炭素      

医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目

  1. 作業条件の調査
  2. 貧血検査
  3. 肝機能検査
  4. 腎機能検査
  5. 神経学的検査
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