40.すごいぞ!ウォーキング|一般財団法人 京浜保健衛生協会

京浜保健便り

40.すごいぞ!ウォーキング

保健師便り2020.08.03 42435view

新型コロナウイルスの影響で自粛生活が長引く中、運動不足解消のためにウォーキングをする人が増えています。ウォーキングは、ケガをするリスクが少なく、老若男女問わずに行える運動です。政府から、外出自粛の対象とせず、生活の維持に必要なものの例として、屋外での運動や散歩等が示されています。

今回は手軽に行える運動の代表、ウォーキングについてご紹介します。これまでウォーキングをしていた人も、これから始める人も、この内容をご参考にウォーキングに取り組んでみましょう。

〇ウォーキングの効果

ウォーキングとは、健康増進や生活習慣病予防のための運動として、歩き方や運動強度、頻度や時間を考慮した「歩く」活動を言います。このウォーキングにはさまざまな効果があります。

脂肪燃焼
ウォーキングは酸素を身体に取り入れながら行う有酸素運動です。有酸素運動は、脂肪をエネルギー源として使い、燃焼させます。脂肪が減少することによって生活習慣病の予防や改善に繋がります。

高血圧の改善
タウリンやプロスタグランディンEという物質が血中に増加し、血圧を下げます。

脂質異常症・動脈硬化の改善
血中の中性脂肪を分解する酵素を活性化させ、動脈硬化を改善します。

糖尿病の改善
血中のブドウ糖が利用され、血糖値を下げる効果があります。

心疾患のリスク低下
肥満解消や、高血圧や脂質異常症、高血糖が改善されることで、心血管疾患(狭心症、心筋梗塞)のリスクが低下することが明らかになっています。

肝機能の改善
肝臓などにたまった脂肪がエネルギー源として使われ、脂肪肝の解消が期待できます。

骨の強化
骨を作るために必要なカルシウムは、運動による適度な刺激で吸収が高まります。また太陽の光を浴びることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが体内でつくられ、骨が強化されます。

腰痛の改善
正しい姿勢でウォーキングを行うことで、筋力や関節可動域が高まり、筋バランスが整い、腰痛の改善が期待できます。

リラックス効果
ウォーキングを一定時間続けることで“気持ち”をリラックスさせるセロトニンという神経伝達物質が分泌されます。

更年期症状の改善
ウォーキングなどの運動を続けることで“ホットフラッシュ”を改善できることが英国の研究で明らかになっています。また、更年期症状について知識を得て、それを意識しながら行うことで、しびれや感覚異常、イライラ感を抑えることに効果が出るという研究報告もあります。

〇適切なウォーキング量

最近の研究では、「1日8,000歩、そのうち中強度(早歩き)の歩行が20分」が健康のために最も適した身体活動量とされています。一般的に、10分で1,000歩程度に相当するため、早歩きの場合は8,000歩の内2,000~2,500歩程度が目安です。早歩きのスピードは1秒間に1メートル以上進む速さと言われていますが、個人差があるので“息が少し弾み、なんとか会話が出来る程度”を意識しましょう。また、連続した20分でなく細切れでも効果はあると言われていますので、1日のトータルで20分間の早歩きがお勧めです。

歩数や活動時間が多ければ多いほど健康に良いというわけではなく、過度な運動は逆にストレスとなり、免疫機能を下げる危険性があります。年齢やその日の体調によっても異なりますので、状態に合わせて歩数を調整しましょう。

〇歩隔(ほかく)・歩幅と姿勢

1本線の上を歩くことを意識しましょう。平行する2本線の上を歩くより、1本線の上を歩くと不安定になるため、体幹を効果的に使うことができます。体幹を使うことは、肥満予防、筋力アップ、バランスの保持に繋がります。
1本線の幅を「歩隔(ほかく)」と言います。歩隔は5センチくらいをイメージしてください。
歩幅は普段の歩幅より広めを意識します。目安は普段の歩幅+10センチです。

〇ウォーキングシューズを選ぶときの注意点

・足の甲がきつくないか
・足指が楽に曲げられるか
・つま先やくるぶしが当たらないか

夕方は朝よりも足がむくみやすく1日の中でも足が1番大きくなるので、シューズ選びは夕方に行うと失敗しにくいです。また、思わず歩きたくなる見た目や、履き心地の良い靴を選ぶことも楽しく続けられるポイントです。

〇歩くときのファッション

・荷物はリュックに入れて手にはなにも持たない
ペットボトルや水筒用のポケットが付いているリュック、単体のペットボトルホルダーなどを使用することで、すぐに水分補給ができて便利です。
・日焼け止めクリームや帽子、サングラスなどで紫外線対策をしましょう
・夏用マスクや冷感素材のバフ(ネックゲイター)を使用しましょう
・人混みを避け、周りに人がいない場合はマスクを外しましょう

〇ウォーキングを行う上での注意点

 ・持病がある方、内服をされている方は主治医に相談の上、行いましょう
また、血圧値や血糖値などが異常値の場合も、医師に相談してから始めましょう
・気温の高い時間を避け、朝や夕方など涼しい時間を選びましょう
・のどが渇く前に水分補給をしましょう
・大量に汗をかいた時は塩分も忘れずに補給しましょう
・体調が悪いときは無理をしないようにしましょう
・マスクは夏用や冷感素材のものを使用し、周りに人がいない場合は外しましょう

〇新型コロナウイルス対策

・「新しい生活様式」の3つの基本
①身体的距離の確保
②マスクの着用
③手洗い

・スポーツ庁より示されている、運動の留意点4つ
①一人又は少人数で実施
②すいた時間、場所を選ぶ
③他の人との距離を確保
④すれ違う時は距離を取る

〇大切なのは「続ける」こと

一番大切なのは“続ける”ことです。体調が優れない時はお休みしたり、歩数を減らしたり、無理をしないようにしましょう。“続ける”ポイントは楽しむことです。ウォーキングと趣味を兼ねたり、仲間と一緒にウォーキングをしたり、楽しみながら取り組みましょう。

【参考・引用文献】

〔1〕著書『「生活習慣病」は歩くだけで9割治る』(長尾和宏著/POWER MOOK84)
〔2〕健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/index.html
〔3〕eヘルスネット〔情報提供〕 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
〔4〕一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2016/009022.php
〔5〕参考:厚生労働省 熱中症関連情報 報道発表資料・関連通知等 https://www.mhlw.go.jp/content/000633494.pdf
〔6〕:厚生労働省 新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html
〔7〕スポーツ庁 参考サイト https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop05/jsa_00010.html
〔8〕京浜保健衛生協会 保健師便り
   No.36.暑い夏を元気に過ごそう! https://www.keihin.or.jp/468/
   No.15.熱中症クイズ https://www.keihin.or.jp/41/

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この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

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