検査結果項目
胸部X線
肺や胸膜(肺を包んでいる膜)、心臓、大血管や縦隔(肺と胸骨と背骨に囲まれた部分)などの影をみる検査です。
肺の病気(肺炎や肺結核、肺がんなど)や心臓が大きくなる病気などに有効とされています。また、背骨や肋骨の異常がみつかることもあります。
◆おもな所見の説明
胸膜肥厚
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肺を包む膜(胸膜)が一部厚くなった状態で、
過去の炎症(肺炎や感染症など)の治癒痕がほとんどです |
胸膜癒着
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肺を包む膜(胸膜)が一部周囲と癒着している状態で、
過去の炎症(肺炎や感染症など)の治癒痕がほとんどです |
石灰化陰影
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肺にカルシウムが沈着している所見で、
結核やサルコイドーシスなどでみられます |
硬化性陰影
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結核などが治った後によくみられる影で、
古い病気の痕跡としてみられるものです |
ブラ様陰影
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肺の中の肺胞(小さな袋状のもの)が合わさって大きな袋になっている所見で、気胸を発症することもあります
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線維性変化
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肺に炎症性変化等がくリ返し起きてきたことにより、
肺全体が線維化した所見です |
線状陰影
索状影 |
太さが1~2mmの細い陰影(線状陰影)やそれより少し太めの陰影(索状影)のことで、過去の炎症(肺炎など)の痕跡としてみられることが多い所見です
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横隔膜挙上
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横隔膜の位置が通常より高い所見で、肥満や腸内のガスが多い場合、
肝臓が腫れている場合などにみられます |
奇静脈葉
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肺を横切っている血管のことで、生まれつきこのような状態になっています
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気管偏位
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気管が左右どちらかに偏っている所見で、
周囲の器官(甲状腺や縦隔など)の異常が原因となる場合もあります |
結節性陰影
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丸い影で小さいものや少し大きめのものがあり、
肺炎や結核、肺腫瘍などでみられます |
心拡大
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心臓の影が胸郭の横幅の半分より大きく写っている所見で、
肥満や高血圧、心臓病などでみられます |
右大動脈
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本来は左後ろに向かっている大動脈が右後ろに向かっている状態の所見です
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キライジチ症候群
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肝臓と横隔膜の間に大腸が入り込んだ状態の所見で、
自然に戻ることもあり心配はいりません |
脊柱側弯
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脊柱(背骨)は本来やや曲がっています(生理的弯曲)が
生理的弯曲以上に曲がっているときにみられます |
肺機能検査
◆肺の容量や換気能力を調べています。 肺活量の基準値は年齢や性別、身長などにより異なります。
検査項目
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基準値
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肺活量
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胸いっぱい息を吸った状態(深吸気位)から、できるだけ吐き切った空気の量
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*
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%肺活量
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肺活量が平均値の何%あるかをみるもの
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80%以上
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1秒率
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胸いっぱいに空気を吸い一気に息を吐き出したとき、はじめの1秒間に吐きだした空気の量が肺活量の何%だったかをみるもの
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70%以上
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)は主に喫煙が原因の病気で、慢性気管支炎や肺気腫など長期にわたり空気の通り道が狭くなる状態が続きます。息が切れる、呼吸が苦しい、痰や咳が続くなどの症状と肺機能検査の結果からCOPDの診断や重症度を調べることができ、1秒率が70%未満の場合は肺の閉塞性障害の疑いがあります。
喀痰検査
採取した痰を顕微鏡で見て異型細胞の有無を調べる検査です。
喀痰細胞診の判定は日本肺癌学会の判定基準と指導区分に準じて行っています。
クラス 分類 |
細胞所見 | 指導区分 | 当協会の判定 |
A | 喀痰中に組織球を認めない | 材料不適、再検査 | 再検査 |
B | 正常上皮細胞のみ | 現在異常を認めない | 異常なし |
基底細胞増生 | |||
細胞異型軽度の扁平上皮細胞 | |||
線毛円柱上皮細胞 | |||
C | 細胞異型中等度の扁平上皮細胞または核の増大や濃染を伴う円柱上皮細胞 | 程度に応じて6か月以内の再検査と追跡 | 3か月後再検査 |
D | 細胞異型高度の扁平上皮細胞または悪性腫瘍の疑いのある細胞を認める | ただちに精密検査 | 専門医受診 |
E | 悪性腫瘍細胞を認める |