若くても注意!耳の健康|一般財団法人 京浜保健衛生協会

京浜保健便り

若くても注意!耳の健康

保健師便り2021.09.01 127view

新型コロナウイルスの影響により家で過ごす時間が増えたことに伴い、ヘッドホンやイヤホンを使用する機会が増えていないでしょうか?

スマートフォンやパソコンでゲームをしたり、音楽を聞く際やリモートワークをするなど、ヘッドホンやイヤホンを使用する機会は様々にあると思います。

長時間つけっぱなしにしたり、大きな音で聞いているなど、利用の仕方によっては耳のトラブルが起こりやすくなってしまいます。

今回は耳の健康を守る方法について考えてみましょう。

〇音が聞こえる仕組み

耳は、耳の穴から鼓膜までを「外耳(がいじ)」、伝わってきた小さな音を鼓膜で受け止めて、小さな骨(耳小骨)を介して内耳へ伝える「中耳(ちゅうじ)」、音を神経の信号に変換する蝸牛(かぎゅう)と三半規管や耳石器からなる平衡器官がある「内耳(ないじ)」の3つに分かれています。¹⁾

耳から入った音は、外耳、中耳を通り内耳の蝸牛という器官にある「有毛細胞」という細胞で振動から電気信号に変換され、脳に伝わることで聞こえるようになります。

“難聴”というと年を重ねると気になる症状として認識されていますが、近年WHOでは、世界の12~35歳人口の約半数にあたる11億人もの若者が難聴のリスクにさらされていると警鐘を鳴らしています。

若者の難聴のリスクの1つにはヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることにあります。大きな音を聞き続けることにより音が聞きにくくなる状況を「音響性難聴」といい、ヘッドホン(イヤホン)難聴とも呼ばれます。

〇ヘッドホンで聞こえが悪くなる原因とは?

耳にとっては、大きな音で、長時間高周波数の音(高音)を聞くことが良くないとされています。大きな音を長時間聞いていると内耳(蝸牛)にある音を感じるための感覚器官(有毛細胞)が、傷つき機能しなくなってしまいます。

WHOでは、80dBで1週間当たり40時間以上、98dBで1週間当たり75分以上聞き続けると、難聴の危険があるとしています。²⁾

音の大きさの目安は、例えば普通に会話しているときの音の大きさは約50~61dBです。大声で会話しているときは約88~99dB、自動車の騒音と同程度だと約85dB、走行中の電車内の騒音と同程度だと約80dBであり、これらのような大きさ以上の音を聞く場合、音の大きさと聞いている時間に比例して、感覚器官(有毛細胞)が傷つき、壊れてしまいます。

コロナ禍においての新しい生活様式では、電車やバスの窓を換気のため開けて走行するようになりました。車内で騒音を感じやすいため、ヘッドホンやイヤホンを使用する際はいつも以上に音量を上げすぎていないか、もしくは音漏れしていないか気をつけてみましょう。

また、音を聞くのに重要な働きをする内耳には、高周波数帯域の音によって損傷を受けやすいという特徴があります。高周波数の音は空気中を伝わっている間に弱まりますが、ヘッドホンを使用する場合は、音源からの距離が短いためあまり弱まらずに直接伝わるのでダメージがより大きくなります。

〇ヘッドホン難聴の特徴

初期変化の特徴は4000 Hz付近の比較的高い音から難聴が進行していくことです。このとき、日常会話を構成する音の大部分は聞こえているため、本人が聞こえにくさを感じることはあまりありません。

初期変化に自分では気づきにくいため、意識的にヘッドホンの音量や使用時間などに注意しながら予防していくことを心がけましょう。

また一般健康診断で聴力検査を実施する場合は、「1000Hz(低音)」「4000Hz(高音)」の聴力を測っています。結果に「所見あり」との記載がある場合は、その音域での聞こえが悪くなっていることを示します。ぜひご自身の健診結果も見直してみましょう。

ヘッドホン難聴では聞こえにくさ以外にも、耳の詰まった感じ(耳閉感)、耳鳴りなどの症状が出たり、ヘッドホンで音楽を聞いている最中、あるいは直後に耳に異常を感じ急性の難聴を発症することもあります。何かしら耳に異常を感じたら早めに受診をすることも大切です。

〇治療方法について

内耳にある感覚器官(有毛細胞)が壊れる前であれば、耳の安静を図ることで回復します。

大きな音を聞いた後に急に耳の聞こえが悪くなったときは、内服や点滴のステロイド剤による薬物療法を行うことがありますが、これらを行っても聴力が十分に改善しないこともあります。

〇難聴を予防するには?

ヘッドホンやイヤホンを使用する時には、耳の健康を守るために以下のようなことに気をつけていきましょう。

①音量を下げたり、連続して聞かずに休憩を挟んだりする

②使用を1日1時間未満に制限する

③周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドホン・イヤホンを選ぶ³⁾

ヘッドホン、イヤホンは様々な形状のものが出ていますが、どのような形のものを選んだとしても適切な時間、音量で使用することが重要です。

〇外耳炎とは

鼓膜の手前を外耳といい、ここの炎症が「外耳炎」です。不潔な耳かき、指の爪などで耳の中をかいて傷を作った場合などに細菌が入り炎症を起こして発症します。日常的にイヤホンを使用している方は特に注意が必要です。長時間イヤホンを使用していると皮膚とイヤホンが触れる場所に圧がかかり傷つきやすくなってしまうので、耳かきなどの刺激をきっかけに外耳炎が発症しやすくなります。

〇外耳炎になったら?

症状としては耳のかゆみや痛み、耳だれ(耳から出てくる無色や黄色の分泌物)があり、耳たぶをひっぱったり、耳の入り口を押したりすると痛みが強くなることもあります。ひどく腫れた場合は聞こえが悪くなります。

外耳炎の治療は、吸引器などで耳あかや、耳だれの分泌物を除去するなど耳鼻科で局所的な処置などを行います。炎症や腫れがひどい場合には、抗菌薬の点耳薬や、ステロイドの塗り薬などを使用したり、抗菌薬を内服することもあります。

 〇外耳炎を予防するには?

 難聴を防ぐための予防法と同様に、イヤホンは長時間使用せずにこまめに休憩を取りながら使用しましょう。少しでも耳に違和感があれば、ヘッドホンやスピーカーを利用するなどの検討も大切です。

他に日常生活では以下のようなことにも気をつけましょう。

①汚れた指や爪で必要以上に耳を触らない

②耳掃除をし過ぎないようにし、過度に刺激しない。不潔な耳かきや綿棒は使わない

③ヘッドホンやイヤホンは定期的に清掃して清潔に保つ

 

 

引用

1)【領域の解説】「耳科・聴覚」一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会ホームページ(2021)http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki/jika.html

2)3)小川郁,ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について,厚生労働省e-ヘルスネット(2021)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/sensory-organ/s-002.html

参考

【領域の解説】「耳科・聴覚」,一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会ホームページhttp://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki/jika.html

【児童生徒の耳・鼻・のどの健康】「耳の健康」,公益財団法人日本学校保健会,学校保健ポータルサイトhttps://www.gakkohoken.jp/special/archives/145

小川郁,ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について,厚生労働省e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/sensory-organ/s-002.html

東京都環境局 生活騒音 音についての基礎知識https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/noise/noise_vibration/daily_life_noises.html

NHK健康ch(外耳炎とは?原因や正しい耳のケアについて解説)

https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1325.html

 

保健師便り

この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

一般財団法人 京浜保健衛生協会

ページトップへ戻る