41.免疫力アップで冬の感染症に負けない!|一般財団法人 京浜保健衛生協会

京浜保健便り

41.免疫力アップで冬の感染症に負けない!

保健師便り2020.11.02 31271view

新型コロナウイルスが世界的に大流行となっていますが、冬の寒い季節はインフルエンザや風邪など、コロナウイルス以外の感染症も心配です。手洗いやうがい、マスクの着用を基本とした新しい生活様式に加えて、自分自身の免疫力を下げない工夫を取り入れ、ウイルスに負けないからだづくりに取り組みましょう!

〇そもそも免疫とは??

免疫とは、体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃し、自分の身を守るように備わった防御システムのことを言います。この免疫には2種類あります。

自然免疫
生まれながらに備わっている、からだが自然に反応する最初の免疫です。唾液や耳あか、皮膚、粘膜、くしゃみ、涙、腸内細菌なども自然免疫のひとつです。からだの中にウイルスや細菌などが入ってくると、その侵入者(抗原)に攻撃をします。白血球の中のマクロファージや好中球、ナチュラルキラー細胞などの免疫細胞が主に活躍しています。

獲得免疫
同じ種類の侵入者(抗原)が再び体内に侵入すると、過去の感染の経験やワクチンの接種により免疫を記憶し、すでに記憶されている免疫がすぐに反応します。抗原を見分け、記憶することで、同じ抗原に出会った時に排除できる仕組みです。感染した際に症状を軽くしたり、感染を防ぐことができ、適応免疫とも呼ばれています。獲得免疫の免疫細胞は、主に白血球の中のT細胞やB細胞などのリンパ球です。
また、免疫システムには「全身免疫」と「粘膜免疫」があり、前者はリンパ中心のシステムで、後者は腸管をはじめとした独自のシステムとなっています。そのため、腸内環境も大変重要な要素の1つです。

〇免疫力を下げる原因

冬の季節
体温が下がることで免疫細胞の働きが低下し免疫機能が下がります。冬はからだが冷えやすく、体温が下がりやすくなります。体温が低下することで免疫に関わる腸の働きもダウンします。
また冬は空気が乾燥するため、自然免疫である鼻やのどの粘膜も乾燥しやすくなります。そのことでウイルスが活性化する“低温乾燥” と呼ばれる条件が揃い、免疫力が弱まります。

偏った食事や睡眠不足などの不規則な生活
免疫細胞や抗体は、タンパク質を中心にさまざまな物質から出来ており、バランスよく栄養素を取ることが大切です。さらに睡眠不足は体内時計を狂わせ、免疫力低下を招きます。
偏った食生活や睡眠不足は肥満に繋がりやすいとされ、内臓脂肪型肥満は免疫老化を招くという研究結果も出ています。冬の時期はクリスマスやお正月などイベントが多いことや、寒さで活動量が減りやすくなる為太りやすい季節なので注意が必要です。

加齢
加齢により免疫細胞は老化し、免疫機能が低下します。免疫力は20代をピークに、40代ではその半分まで低下すると言われています。

ストレス
過度なストレスを受けることで自律神経のバランスが崩れ、免疫力は低下します。過度なストレスを受けている人を対象にした研究では、そうでない人に比べて免疫物質の分泌が低下することが分かっています。

〇冬の生活の中で免疫力アップの工夫

乾燥させない
先ほど述べたとおり冬は空気が乾燥しやすいです。
水分摂取やうがい、マスクの着用で のどを保湿しましょう。
室内では加湿器や濡れタオルなどで空気の乾燥を防ぎましょう。

からだをあたためる
衣服の工夫をしましょう。マフラーや手袋、腹巻などを使用すると冷えにくくなります。マフラーや手袋は、出かける前の室内で着用しましょう。
またお風呂では、忙しいとシャワーだけになりやすいですが、ゆっくり湯船に浸かりましょう。
その他、食べ物や飲み物でからだを中から温めましょう。

腸内環境を整える
腸内の善玉菌を増やすことで、免疫力を高めたり、感染を予防したりします。善玉菌は乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維を好みます。ヨーグルトや大豆製品、野菜や穀物など善玉菌の好むものを意識して摂るとよいです。逆に悪玉菌はたんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・ストレス・便秘などが原因で腸内に増えてきます。
排便のリズムを整えるために、朝食を摂ることや早寝早起き、適度な運動も心がけましょう。また便意をもよおしても我慢してしまうと便秘に繋がりやすいため、我慢せずトイレに行くことを心がけましょう。
保健師だよりvol.16

適度な運動
寒い冬は家の中にこもりがちですが、適度な運動は免疫力を高めることに効果的です。運動することで体温の上昇や肥満予防にも繋がります。また筋肉は身体の熱生成を行うため体温を上昇させます。外に出て行うものだけでなく、家の中でも出来る簡単な運動で活動量をアップできるよう取り組みましょう。
入浴後、血流が良くなっている状態でストレッチなどを行うと効果的です。

※冬の運動の注意点
冬は低温環境、室内外の気温差が刺激になって脳や心臓へ負担がかかりやすいです。ウォーミングアップを必ず行い、無理のない範囲で運動しましょう。
また服装は、寒さ対策や重ね着ができるスポーツウェアを選びましょう。防寒・保温性・速乾性機能をもつアンダーウェアなどがおすすめです。汗をかいた際はそのままにしないよう心がけましょう。
持病がある方、治療中の方などは医師に相談の上行ってください。

睡眠の質を高める
睡眠の質が高い人ほど風邪の発症率が低くなるという研究結果が出ています。
朝は決まった時間に起きる、寝酒をしない、寝る前にスマホやテレビの光を浴びないなどがあります。また湯船に浸かることや適度な運動は睡眠の質を上げることにも効果があります。
保健師だよりvol.23

ストレスをためない
前向きな気持ちで過ごすことや、無理をせず休むことなどが大切です。また、笑いは免疫力を上げると言われています。それは作り笑いでも効果があるそうです。自分の好きなことをしたり、好きなものを見たりして楽しみましょう。

【参考・引用文献】

・中外製薬株式会社ホームページ
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada023.html
・大塚製薬ホームページ
https://www.otsuka.co.jp/b240/
・日本予防医学協会 健康づくりかわら版
https://www.jpm1960.org/kawara/extra/post-40-2.html
・味の素株式会社 いきいき健康研究所
https://report.ajinomoto-kenko.com/kaze_influenza/nayami.html
・慶應義塾大学医学部 科学技術振興機構(JST)
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2016/11/8/161108_1.pdf
・健康長寿ネット
・eヘルスネット
「腸内細菌と健康」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
・日本生活習慣病予防協会
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2012/002214.php
・保健師だより vol.16 vol.23

保健師便り

この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

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