20.生活習慣を見直し糖尿病を予防しよう|一般財団法人 京浜保健衛生協会

京浜保健便り

20.生活習慣を見直し糖尿病を予防しよう

保健師便り2017.12.03 4242view

ロコモティブシンドローム

これからクリスマスや忘年会などでいつもより食べたり飲んだりする機会が多いですよね。さらに寒い季節は活動量が減ってしまいがちで、太りやすい時期です。そうなると気になってくるのが血糖値。今回は血糖値が気になる方にぜひ読んでいただきたい糖尿病を予防する為のお話です。

糖尿病とは

糖尿病は、インスリンの分泌不足や効きが悪いことにより高血糖が慢性的に続く病気です。インスリンは血糖値を下げるホルモンで、膵臓から分泌されて血糖値を一定に保つ働きがあります。糖尿病は大きく1型と2型に分けられます。

  • ● 1型糖尿病…自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊されるものです。
  •  2型糖尿病…遺伝的要因に加え、過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。

ご家族に糖尿病の方がいる場合は、糖尿病に罹りやすいため特に注意が必要です。 2型糖尿病の患者数は増加し続けています。今回はこの2型糖尿病を取り上げます。

2型糖尿病の原因

インスリン分泌不足

分泌されるインスリンの量が少ないかタイミングが遅いため血糖値が高くなります。日本人は欧米人に比べてインスリンの分泌量が少なく糖尿病になりやすいので注意が必要です。

インスリンの効きが悪くなる

肥満によって増えた脂肪細胞から、インスリンの働きを悪くする物質が分泌されます。特定健康診査を受けた方で、内臓脂肪型肥満(お腹回りが男性は85㎝以上、女性は90㎝以上)の方は注意が必要です。

糖尿病の診断を行う上では、様々な検査があります。

  •  空腹時の血糖が126mg/dl以上
  •  食後に測った血糖が200mg/dl以上
  •  過去1~2か月の血糖値の平均であるHbA1c(NGSP)が6.5%以上

上記に該当する場合は糖尿病である可能性が高くなります。上記に該当する方や高血糖症状がある方は医療機関で検査を受けましょう。

糖尿病が引き起こす恐ろしい合併症

血糖値が高くても初期はほとんど症状がありません。血糖値が高い状態が続くと、喉がかわく、疲労、多尿、頻尿、体重減少などの症状が出ます。著しく高血糖の場合は昏睡状態になる危険があります。 高血糖のまま数年~数十年経過すると、次第に全身の血管や神経が傷つき、酸素と栄養が運ばれないことで合併症を引き起こします。

微小な血管の障害である網膜症(重症では失明)・腎症(重症では透析が必要)・神経障害(壊疽すると切断が必要)の三大合併症のほか、より大きな血管の動脈硬化が進行して心臓病や脳卒中のリスクも高まります。症状がないまま合併症を発症することもあります。 また糖尿病の方は認知症になるリスクが上がるとも言われています。高血糖のまま放置するのは危険です。しかし、早期に良好な血糖コントロールができれば、合併症の予防につながります。

ロコモを防ぐために

食事

  •  主食、主菜、副菜をそろえた1日3食の規則正しい食事が基本。バランスのとれた内容で、腹八分の量を摂る。
  •  ゆっくり良く噛み、野菜やきのこなどの食物繊維から先に摂り、血糖値の急激な上昇を抑える。
  • 夜遅く食べたものは脂肪になりやすく肥満につながるので、就寝2時間前までに食事は済ませる。
  •  甘い飲み物の摂りすぎに注意し、無糖の飲み物を選ぶ。
  •  甘い菓子の買いだめや、ながら食いは食べ過ぎるリスクがあるので避ける。
  •  お酒の摂り過ぎは肥満につながりやすいため適量を守る。
    1日の適量の目安…【ビール中瓶(500ml)、焼酎25度コップ半分(約100ml)、ウイスキー ダブル1杯(60ml)、チュウハイ7%350ml、ワイングラス2杯(240ml)、日本酒1合(180ml)】
  •  菓子などの嗜好品は低カロリーなものを選ぶ。
  •  クリスマスは揚げ物(フライドチキンやフライドポテト)より低カロリーなローストチキンを選ぶ。
  •  お正月のおせちセットは低カロリーのものを選ぶ。
  •  お餅1個(50g)は約120kcal、ごはん茶碗1杯(普通盛り)は約250 kcal。うっかり食べ過ぎてしまいがち。意識して摂る。

クリスマスメニュー変更例

 

運動

運動不足の方は糖尿病になりやすくなります。有酸素運動を行うと筋肉などで取り込まれるブドウ糖の量が増え、血糖値が改善されます。寒い冬は、運動時間を新たにとるよりも日常生活に上手に組み込むことや、家の中で体を動かすことがお勧めです。

  •  大掃除を頑張る(雑巾がけ、窓ふきなど)。
  •  デスクワークの合間や、家でテレビを見ながら、ストレッチ。
  •  エレベーターより階段を使う、電車では座らず立つなど、意識して体を動かす。
  •  毎日の活動に10分の歩行をプラス。

※食事や運動などの制限がある方は主治医の指示に従ってください。

睡眠

睡眠は肥満や糖尿病と関係しています。睡眠時間が5時間未満では糖尿病発症のリスクが2.5倍になると言われています(7~8時間を1とした時)。睡眠時間は個人差がありますが長すぎても短すぎても病気のリスクがあります。
7~8時間くらいを目安に睡眠をとりましょう。

皆さん健康で楽しい年末年始をお過ごしください。

保健師便り

この記事は、神奈川県川崎市高津区にある健診機関「京浜保健衛生協会」が執筆・監修しています。人間ドック/巡回健診/女性のための健診/がん検診など、健診でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

一般財団法人 京浜保健衛生協会

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